もう迷わない! 文庫本同人誌のお値段設定

 こんにちは、絹田屋です! 夏コミに向けて絶賛原稿中です。総集編を出そうと目論んでおり、それ用に書下ろしを執筆しております!(書下ろしのためWebで公開できず何も活動していないように見えてしまう……笑)
 アンケートを取った所、鈍器のような文庫本が望まれていることがわかりました。
アンケート結果
アンケート結果
 
 マジで言ってんの????笑
 
 とはいえ、コミックモールさんの「再販セット(600pから受付可能)」というトチ狂ったプランを一度くらいは使ってみたいと思っていたので、実行に移しています。楽しみ!
 
 しかしお値段がいつもの印刷費の倍以上かかる上に、当初の見積もりからページ数が膨らんでいるのもあり、販売する値段というか、価格に未だ頭を悩ませているところ……。
 そしてその辺り、他の人も悩んでいるのでは? と思い至り、せっかくなんで普段の価格設定の方法でも書こうかなと思います。

【価格設定】ってなんのため?

 絹田屋の代表作である《珪と清陽シリーズ》は竜胆を胸に抱く、溺れる人魚、松虫草で弔ってで構成されたものです。
 今回の本は3作+1作書下ろしになるので、四冊分の本をまとめたものになります。
 じゃあ今まで発行してた本の価格×4でいいじゃん! とするのも、まぁ……ありなのかもしれません。
 その計算で行くと一冊4,000円の文庫本になります。
 
 いや、さすがに高くない……?((((;゚ω゚))))
 
 自分だったらこの値段で買うか? イベントで見かけたとしても「この価格はちょっとハードル高いわ……」と思う気がする……。いや、お祭りテンションで買って帰る可能性も無きにしもあらず……?
 と、迷いが生じた時点で単純計算で価格をつけるのはやめました。
 
 価格設定は、赤字にならずかつ買ってもらえる価格にすることです。何故か。創作活動を続けるための資金元だからです。お金は活動するための手足と同じだという価値観のもと、次のために、次の次のためを見据えた価格設定が必要となると考えています。
 そして、買うのにハードルを感じない価格というものが多くの人に共通する幅として存在します。そのラインはジャンルによって様々ですし、人によって様々です。
 「50ページまでなら500円、200ページまでなら1,000円」としている作家もいれば、「一文字xx円」としている書き手も居ます。
 絹田屋にとって「買う側がハードルを感じない価格かつ創作が続けられる価格の計算式」は大体、以下の数式が当てはまります。
 
 本の価格 = 原価(内訳:印刷費 + イベント参加費 + 交通費を足した数字) ÷ 冊数 × 2
 
 つまり
 「イベントで本が半分売れたら原価が回収でき、その後通販で半分が完売すれば次の本の原価をまかなえる」というサイクルです。
 部数を多くすればするほど一冊あたりの単価は下がりますが、在庫として保存するスペースと相談しないと厳しいことになります。
 (ちなみに私の場合、冊数は50冊~100冊を三ヶ月~一年かけて販売するペースです)

実際にシミュレーションしてみる

 例えば、100pの文庫本を30冊注文し、近所(普通電車で一時間以内)の即売会イベントへ参加するものとします。
 いつもお願いしているコミックモールさんのお値段だとこれくらいです。印刷費12,760円(いつ見ても安いと思う)。
 
印刷費

 
 参加費が5,000円、会場までの交通費が往復1,000円だったとします。
 
 原価
 印刷費12,760円 + 参加費5,000円 + 交通費1,000円
 = 18,760円
 
 これを注文部数の部数で割ると、一冊あたりの単価が出ます。
 単価
 原価18,760円 ÷ 部数30
 = 625円
 
 625円を上回れば、すくなくとも赤字にならないことが明らかになりました。
 赤字にならないだけではなく、次の本(ないしはノベルティ・グッズなども)を刷るために半分売れたら新しい本、という戒めを掛けるとします(笑)
 
 単価から販売価格を出します。
 販売価格
 単価625円 × 2 = 1,250円
 
 半端な数字なので、これを1,200円にするか1,000円にするかは調整しましょう。
 (イベント中お釣りが不安……という人は1,000円がおすすめです)
 
 ※遠征の場合、交通費入れたら結構な価格になります(宿泊費も含めたら印刷費より高くなる)。
  遠征で新刊を出す時は、観光に来たと思って交通費もろもろは原価に含めないのがいいでしょう。

まとめ

 小説同人誌の価格設定、参考になりましたかね……?( ・ิω・ิ)
 実際の絹田屋が作った本の価格はおおよそこの価格ではありますが、アクセとの調整を入れていたりもするので、全てがこの価格ではないです。
 「本が半分売れたら原価が回収できる」というのはあくまで目安なので、塩梅は人それぞれ変えても問題ないかと思います。
 
 これの縛りというかなんというか……な部分は「イベント出るたびに新刊を出すこと前提」になっていることですね!笑
 大体問題なく(?)新刊が出続けているのはこの数式のおかげだし、お買い上げ頂いている方がいてこそ成り立ってます……! 土下寝するしかない。
 
 あ、あくまで「一次創作小説(文庫本)の値段の付け方」なので、二次創作やイラスト・漫画をメインとする方は別の価格設定も調べるのが吉です。
 (特に、二次創作の場合は"販売"ではなく"頒布"でしょうし、利益についての考え方も違うはずなので)
 
 これを読んで、モヤモヤが少しでも晴れたら幸いです! ちなみに、この計算式だと総集編は3,000円前後の価格付けになりそうです。冊数増やせばですけどね!笑
 絹田屋の夏コミスペースは二日目の西ホールC32aです! 皆様にお会いできるよう、がんばります!(ㆁωㆁ*)